daikiho’s blog

不妊治療、本の感想、宝塚、日々思うことなど・・

むらさきのスカートの女

今村夏子著の芥川賞受賞作品、「むらさきのスカートの女」。以前ラジオ 荻上チキ sessionで紹介されていて面白そうだなあと思っていたので読んでみました。

 

なんっとも言い難い、初めての感覚の読後感でした!

 

 

あらすじは主人公「わたし」が最近街でみかける「むらさきのスカートの女」と友達になりたくて、「むらさきのスカートの女」が自分の職場で働くよう仕向け、彼女を観察していく、みたいな話です。

 

「むらさきのスカートの女」をちょっと風変わりな気になる人、一方「わたし」は平凡でフツウの人、として「わたし」は語っているのですが、読み進めていくと「わたし」にちょっとずつ違和感を覚えて、あれ?え?それはやっちゃダメでしょ‥「わたし」が一番ヤバいやつじゃない?ってツッコミたくなります。

 

 

でも「わたし」の周りの人も、「わたし」自身もそのヤバさには気づいてなくて、地味で注目に値しないフツウの人として扱うため、物語の中で「わたし」にそのヤバさを指摘する人は最後までいません。

 

「むらさきのスカートの女」含め登場人物みんなが不倫だの職場の備品の持ち出しだのそれぞれ悪いことはしていて、「こんなのみんなやってるでしょ」とはいいつつも一応やってることは悪いこと、という自覚はあります。

 

でも「わたし」はやってることが悪いこと、という認識がないままサラーッとしれーっと、ヤバめの言動を繰り返し、また誰にも気づかれず突っ込まれず、物語が進んでいく様は中々ドキドキします。

 

見た目はフツウなのに、話してみると「あれ‥?」と違和感を覚えるような人、生きてたら一人や二人出会ったことがあると思いますが、そんな人たちの頭の中を覗くような気分になる1冊です。是非読んでみて下さい!

 

 

 

新聞と戦争

私事ですが4月に出産しました!やっと体調が復活してきたので投稿しますー

 

産前から産後にかけて読んだ「新聞と戦争」という本。朝日新聞第二次世界大戦の際、なぜ、どのように戦争協力したのかを、当時の資料や存命の当時の記者の方への取材などから朝日新聞自身が検証した1冊。

初版は2008年で当時の方からお話をきくには多分ギリギリのタイミング。朝日新聞が自社の戦争責任を考える意義のあるものだと思います。

 

 

なぜ戦争協力したか。

軍部からの圧力があったから。新聞の売れ行きが伸び悩んだ時代で満州という新たな市場は魅力的だったから。などなど様々な視点から理由が語られています。

 

それに対し、じゃあどうすれば良かったか。

記者たちはそれぞれの生活を守るため、ジャーナリズムを貫けなかった、なのでジャーナリストとしての覚悟をもって行動するべきだった。というようなことが語られていました。

 

そりゃそう。

だけど、それはめっっっちゃくちゃ難しいことですよね。この本が書かれた2008年は、また戦争が起こるかもしれない、という危機感も今ほど切迫したものではなかったでしょうし、結局書いてる人たちは当時の戦争責任者じゃないからそう言える。(後書きには、当時の記者を簡単に断罪して終わらせてはならない、とは書いてありましたが。)今後ジャーナリズム精神だけを拠り所にしていては、また同じことを繰り返してしまうのではと思いました。

私だって子どもが生まれて、この子のためだったら権力に屈して罪を犯すのかもしれない、という感覚が芽生えました。誰だって自分や家族、身内が一番大切です。

それを前提として、裁判官の身分保障のような(実際にやろうとしたら様々な課題があると思いますが)権力に屈しなくてすむ仕組みがジャーナリストにも必要なように思いました。

 

そして今、日本のメディア報道の自由度は年々順位を下げています。ジャーナリズムを貫く、といった朝日新聞やその他メディアは今どういった振る舞いをしているのか。ちゃんとみていなくては、と思いました。

 

兵士のアイドル 幻の慰問雑誌に見るもうひとつの戦争

読書記録です📕

 

押田信子著「兵士のアイドル 幻の慰問雑誌に見るもうひとつの戦争」という本を読みました。

日中戦争から太平洋戦争にかけて、戦地の兵士たちに向けて発行された「戦線文庫」と「陣中倶楽部」という慰問雑誌をとおして、当時「女性アイドル」はどのように扱われたか、機能したか、活躍したか、を検証する1冊。

 

日本に残した恋人がいない兵士たちにとっての心の恋人となるべく、誌面上で微笑み、兵士たちを労うメッセージを発し続けるアイドル像がつくられたこと、国民からの献金「恤兵金」が資金源となっていたこと、戦争が進むと掲載される女性像が、銀幕のスターから、銃後を守る献身的な女性像に変わっていたこと、国内から男性がいなくなったことで女性の社会進出が皮肉にも促進されたことなど、知らなかったことがたくさんありました。

 

女性史、メディア論、民主主義…たくさんの視点から考えさせらました。

 

一番感じた事は現代の政治とメディアのつながり方と重なる部分が大いにあるなということです。

 

メディアが政治のチェック機能を果たしておらず、政権の都合の良いような内容を広報する機関になってしまっているように思います。

これはニュース報道に限った話ではなくて、政治とは関係なさそうに無邪気に振る舞う芸能人・アイドルたちが、特定政権の都合の良いイメージや世論作りに加担している状況が見受けられます。

芸能人・アイドルは全く政治的発言をするな、ということではなくて(どんなことも政治と完全に無関係にはなれないので、本来それは無理なことだと思います)彼らの発するメッセージをそのまま鵜呑みにせずに、「待てよ?」と思えることが大切なのかなと思いました。

 

ぜひ今読んで欲しいとても面白い1冊です!

 

 

乳と卵

先日、川上未映子著の「夏物語」が面白かったので、同著者の「乳と卵」を読みました。芥川賞受賞作品なので名前は聞いたことがありましたが、「夏物語」は「乳と卵」の続編とのこと。

 

daikiho.hatenablog.com

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夏物語」の前編というよりは、「夏物語」の前半部分のエピソードをピックアップしてより文学的?な感じの短編になった、という印象でした。

 

芥川賞作品は昔学生時代に「蹴りたい背中」「蛇にピアス」ぐらいしか読んだことがなくて、ちょっとどちらも鬱々とした感じが(それが純文学らしさ、なのかもしれませんが)正直苦手でした。

今回「乳と卵」を読んだあとも、ああ芥川賞作品ってこんな感じだった!と思い出しました。(たった数作しか読んだことないくせに、という話ですが…)

 

元々大した読書量じゃないので私が慣れてないのかもしれませんが、芸術的な文章、というのがどうもすっと入ってこなくて…

 

同じ作家の方で、途中までだけど同じテーマ・ストーリー展開なのに受ける印象がこうも違うのか、と発見でした。

「夏物語」は素直にそれぞれの立場で、性、生殖、産むこと生まれること生まれないこと…などについて思いが語られていて、登場人物の大阪弁も、その心情を語るのに一番自然な言葉であると感じられます。

一方で「乳と卵」の大阪弁は、文章の芸術性や、純文学らしさをだすためにわざと正しくない文法や地の文に話し言葉を織り交ぜているような印象を抱きました。

 

私の読解力とか感性とかの問題なのかもしれませんが、「夏物語」の方がずっと好きでした。

 

逆に今まで一作品だけ読んで苦手、と思っていた作家作品も違うものだと全然違う印象を受けるのかも?という学びがありました。

 

ぜひ2作品読んで違いを楽しんでみてください📕

 

 

出産に向けて宅配サービス

諸先輩方から語られる出産・育児の壮絶さにビビり倒しています。

産んだ後は2〜3時間ごとの授乳で眠れないよ、というのもよく聞きますよね。

あとこの前抱っこ紐をお店みにいったら、「使用は新生児から」と書いてあったので、てっきり生まれたてホヤホヤから使えるのかと思ったのですが、店員さんによると生後1ヶ月からの意味とのことでした。店員さんいわく「1ヶ月検診までは外には出ませんからね」とのこと。

 

赤ちゃんが外に出ない→

必然赤ちゃんをみる大人も外に出ない→

その大人というのは母親になる私になることがほとんど

→…え私ほぼ1ヶ月軟禁状態??(夫にも多少育休はとってもらうつもりですが。)

ということに気付きました。

 

スーパーにも行けないのかも?ということで宅配サービスを検討中です。

とりあえず生協さんのお試しを頼んでみましたが、紙のチラシで献立考えながら注文して、というのが慣れなくて結構見づらくて面倒で…

今度はヨシケイさんをお試し中なのですが、この値段払って自炊するなら(量が足りないので2人で3人分注文したので1人1食700円くらい)もういっそ弁当でもいいのか?という気持ちになったり…。(今はプチママという2品作るための材料が毎日届くプランをお試し中です)

 

うーん他にもネットスーパーなどサービス色々

ありますが、どれがいいんですかねぇ、、、現在検討中です🧐

 

産休中の今しかじっくり考えられないと思うので色々試したいと思います!

 

久々の更新 「夏物語」

軽く3ヶ月ぶりくらいの更新…。本当はもっと更新したかったけれど物件探しやら、体調不良やらで何もできず…まあマイペースにたまに記録がてら書いていこうと思います。


妊娠後期にはいって体調が少し落ち着いてきました。
先週少し早めの産休に入りやっと1冊本が読めました。それがとても面白かったので紹介します。

 

川上未映子著「夏物語」

作家を目指す主人公、夏子とその周りの人間関係についての小説なのですが、テーマが生殖、不妊治療、精子提供…など妊娠・出産にまつわるものです。

以下オチは書いてないですしネタバレってほどのネタバレは書いてないですが、ご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 


主人公の姪っ子、緑子が子どもの頃の、自分の身体への違和感とか自分にもあったなぁと思いますし(忘れてたのに、妊娠して、私産む側の性なんだ…と今実感している感じです。この歳になれば、違和感というより、この妊娠に伴う諸々の面倒が男性なら全くなし、というのがえええーーって感じですが)、夏子が出会う精子提供で生まれた善百合子の反出生主義の考え方(簡単に言うと、産まれて苦しんだり悲しんだりするくらいならみんな産まれてこない方がよいのでは?といった考え方)共感してしまう部分があります。
反出生主義について他でも読んだことがありましたが、そこでも「それでもやっぱり人の誕生は素晴らしい」といった感じで終わりました。まあそう言わないとこの世の全否定になっちゃうというか、救いがないですよね。でも、それでもやっぱり素晴らしいって本当に言いきれる人なんていない気もします。そう信じてる人はいっぱいいると思いますが。

 


こんなことリアルな友達に言ったらさぞ不幸な生い立ちなのか、親を恨んでるのか、望まない妊娠だったのか、とか思われそうですが、どれもそんなことはありません。
ただ、子どもを産むって親のエゴだよな、ってことは覚えておきたい、産んでやった、育ててやった、とかは言いたくないなあと思っています。


ラストの夏子の「何も怖くないねん」、という境地にまではまだ至っていませんが…陣痛も出産も育児も怖いです笑
けどそのうち私の気持ちも親というものになるのだろう、色々考えつつ行き当たりばったりしつつ子育てできたらなぁと思っています。

 

テーマは重いし、妊娠中にこんな本読むなんてとんでもない!って思う人もいるかもしれません。

けど、私は妊娠中だからこそ一度読んで「産む・生まれる」ってどういうことなんだろう?と考えるのにテーマがぎゅっと詰まった良い本だと思います。是非読んでみてください!

 

 

 



蟹工船

読書記録です。

 

小林多喜二著「蟹工船」を読んでみました📕めちゃくちゃ有名なプロレタリア文学作品ですね。

蟹を獲って船上で缶詰作業も行う蟹工船での奴隷的な労働に従事していた工夫たちが団結してサボタージュストライキを行っていく話です。

前半は労働者たちの生活、対する資本家(実際の資本家は出てこないのですが、船の「監督」とかがその象徴なんだと思います)の非人道的な振る舞いが描かれていて、読んでいたらむせ返る臭いが漂ってくるような作品です。(食事中に読むのはお勧めしません…笑)

そこから自然発生的に労働者の団結が起こり、サボタージュストライキを始めていきます。

 

昔の話、と読んでしまうかもしれませんが、度々年収の低さや、コロナでの失業、ブラック企業についてなどが話題に上がる日本では、決して「昔話」で終わらせられない作品だなぁと思いました。

労働者運動や組合活動って、日本だと、眉をひそめてしまいがちですが、当然の権利で、機能してないとあっという間に使用者側に搾取されて奴隷のような労働環境に陥ってしまうものだと思います。

最近色濃い、貧乏人は黙っていろ、という圧力や、勤労・清貧を良しとする文化など、声を上げづらい環境ではありますが、声をあげることの大切さ、一人では闘えないとき団結することの意義がよく分かる作品でした。

 

自分の子どもにも、自分自身を守るためにそういう価値観も身につけて欲しいな、と思いました。特にこれからの日本では。

割と短くてすぐ読めるので是非読んでみてください!