乳と卵
先日、川上未映子著の「夏物語」が面白かったので、同著者の「乳と卵」を読みました。芥川賞受賞作品なので名前は聞いたことがありましたが、「夏物語」は「乳と卵」の続編とのこと。
以下ネタバレあり
「夏物語」の前編というよりは、「夏物語」の前半部分のエピソードをピックアップしてより文学的?な感じの短編になった、という印象でした。
芥川賞作品は昔学生時代に「蹴りたい背中」「蛇にピアス」ぐらいしか読んだことがなくて、ちょっとどちらも鬱々とした感じが(それが純文学らしさ、なのかもしれませんが)正直苦手でした。
今回「乳と卵」を読んだあとも、ああ芥川賞作品ってこんな感じだった!と思い出しました。(たった数作しか読んだことないくせに、という話ですが…)
元々大した読書量じゃないので私が慣れてないのかもしれませんが、芸術的な文章、というのがどうもすっと入ってこなくて…
同じ作家の方で、途中までだけど同じテーマ・ストーリー展開なのに受ける印象がこうも違うのか、と発見でした。
「夏物語」は素直にそれぞれの立場で、性、生殖、産むこと生まれること生まれないこと…などについて思いが語られていて、登場人物の大阪弁も、その心情を語るのに一番自然な言葉であると感じられます。
一方で「乳と卵」の大阪弁は、文章の芸術性や、純文学らしさをだすためにわざと正しくない文法や地の文に話し言葉を織り交ぜているような印象を抱きました。
私の読解力とか感性とかの問題なのかもしれませんが、「夏物語」の方がずっと好きでした。
逆に今まで一作品だけ読んで苦手、と思っていた作家作品も違うものだと全然違う印象を受けるのかも?という学びがありました。
ぜひ2作品読んで違いを楽しんでみてください📕