daikiho’s blog

不妊治療、本の感想、宝塚、日々思うことなど・・

むらさきのスカートの女

今村夏子著の芥川賞受賞作品、「むらさきのスカートの女」。以前ラジオ 荻上チキ sessionで紹介されていて面白そうだなあと思っていたので読んでみました。

 

なんっとも言い難い、初めての感覚の読後感でした!

 

 

あらすじは主人公「わたし」が最近街でみかける「むらさきのスカートの女」と友達になりたくて、「むらさきのスカートの女」が自分の職場で働くよう仕向け、彼女を観察していく、みたいな話です。

 

「むらさきのスカートの女」をちょっと風変わりな気になる人、一方「わたし」は平凡でフツウの人、として「わたし」は語っているのですが、読み進めていくと「わたし」にちょっとずつ違和感を覚えて、あれ?え?それはやっちゃダメでしょ‥「わたし」が一番ヤバいやつじゃない?ってツッコミたくなります。

 

 

でも「わたし」の周りの人も、「わたし」自身もそのヤバさには気づいてなくて、地味で注目に値しないフツウの人として扱うため、物語の中で「わたし」にそのヤバさを指摘する人は最後までいません。

 

「むらさきのスカートの女」含め登場人物みんなが不倫だの職場の備品の持ち出しだのそれぞれ悪いことはしていて、「こんなのみんなやってるでしょ」とはいいつつも一応やってることは悪いこと、という自覚はあります。

 

でも「わたし」はやってることが悪いこと、という認識がないままサラーッとしれーっと、ヤバめの言動を繰り返し、また誰にも気づかれず突っ込まれず、物語が進んでいく様は中々ドキドキします。

 

見た目はフツウなのに、話してみると「あれ‥?」と違和感を覚えるような人、生きてたら一人や二人出会ったことがあると思いますが、そんな人たちの頭の中を覗くような気分になる1冊です。是非読んでみて下さい!