daikiho’s blog

不妊治療、本の感想、宝塚、日々思うことなど・・

ヘブン

こんにちは😃daikihoです

読んだ本の感想や、子育て、宝塚観劇記録、日々の雑記など‥気ままに書いております。

 

 

川上未映子作品を何冊か読んで面白かったので今回は「ヘブン」を読みました。

 

 

この作品は、同級生からのいじめを受けている少年と少女の物語なのですが、善悪とか価値の根源を問うていて、読んでいて自分の価値観が揺らいでしまいそうになります。

 

 

いじめっ子に一言言ってやろうと主人公がいじめっ子と話をするシーンが印象的でした。

 

いじめっ子が理不尽な理屈を並べて、いじめていることをちっとも悪びれないので、「もー!主人公よ、ぶん殴っちまえよ!」と読み進めていたのですが、

 

 

いじめっ子に「殴ったり「できない」側の人間なんだろ?」と言われてしまい、読んでいる私も面食らってしまいました。

 

 

いじめはいけない、人を殴ったり傷つけたらいけない、という当たり前と思っていた善悪の話ではなくて、人を殴りたい、そして「殴れる」、だから殴る。みたいな理屈。

 

 

 

いじめられている主人公に「腹が立つなら殴り返せばいいじゃない。でもできないでしょ?」と言って、いじめっ子は立ち去ってしまいます。

そう言われてしまうと、「え?、え、え…」と私まで何も言い返せない主人公と同じように立ちすくんでしまいました。

 

 


主人公の友人コジマは、それでもこのイジメを耐えること、全てには意味がある、と主人公に訴えるのですが、その考えも、辛い時間を後から自分の中で意味付けできたらラッキーだけれど、「意味があるはず」、と現状をずっと耐え忍ぶ理由にしてしまうとしんどいよな…と思いました。

 

 

意味なんてなかった、と気づいてしまったときが一番辛いですよね。

 

なんだか読後うんうん唸ってしまう作品ですが読んで良かったです📕