daikiho’s blog

不妊治療、本の感想、宝塚、日々思うことなど・・

兵士のアイドル 幻の慰問雑誌に見るもうひとつの戦争

読書記録です📕

 

押田信子著「兵士のアイドル 幻の慰問雑誌に見るもうひとつの戦争」という本を読みました。

日中戦争から太平洋戦争にかけて、戦地の兵士たちに向けて発行された「戦線文庫」と「陣中倶楽部」という慰問雑誌をとおして、当時「女性アイドル」はどのように扱われたか、機能したか、活躍したか、を検証する1冊。

 

日本に残した恋人がいない兵士たちにとっての心の恋人となるべく、誌面上で微笑み、兵士たちを労うメッセージを発し続けるアイドル像がつくられたこと、国民からの献金「恤兵金」が資金源となっていたこと、戦争が進むと掲載される女性像が、銀幕のスターから、銃後を守る献身的な女性像に変わっていたこと、国内から男性がいなくなったことで女性の社会進出が皮肉にも促進されたことなど、知らなかったことがたくさんありました。

 

女性史、メディア論、民主主義…たくさんの視点から考えさせらました。

 

一番感じた事は現代の政治とメディアのつながり方と重なる部分が大いにあるなということです。

 

メディアが政治のチェック機能を果たしておらず、政権の都合の良いような内容を広報する機関になってしまっているように思います。

これはニュース報道に限った話ではなくて、政治とは関係なさそうに無邪気に振る舞う芸能人・アイドルたちが、特定政権の都合の良いイメージや世論作りに加担している状況が見受けられます。

芸能人・アイドルは全く政治的発言をするな、ということではなくて(どんなことも政治と完全に無関係にはなれないので、本来それは無理なことだと思います)彼らの発するメッセージをそのまま鵜呑みにせずに、「待てよ?」と思えることが大切なのかなと思いました。

 

ぜひ今読んで欲しいとても面白い1冊です!